2014年4月17日木曜日

大阪の異様なパワーを再び

沖縄県民を不可逆的にその気にさせた時点で、民主党の戦略は成功したといえる。小沢にとって鳩山が「駒」だとしたら、鳩山政権が短命に終わってもかまわない。次の選挙で民主党が負けても、その次に出てきそうな政党の多くが「地方分権」「アジア重視」を掲げているのなら、敗北すらかまわないことになる。もし今後の選挙で民主党が大敗し、自民党政権が復活したとしても、沖縄での基地反対の機運がこれだけ高まると、誰が政権をとっても普天間基地の問題を県内移転で解決することは不可能だ。むしろ、沖縄にいる在日米軍にグアムか米本土に撤退してもらった方が、民意にそった解決となる。

地方分権策の先駆地としては、沖縄よりも、大阪などの関西の方が適している。関西は、首都圏に次ぐ大都市圏で、江戸時代まで日本の中心だったという誇りと、独自の文化が、人々の中に存在する。関西は1970年代以降、多くの企業が大阪から東京に本社機能を移転した結果、経済的、人材的に危機に陥っており、人々の中に潜在的な危機感がある。大阪府下の自治体は、大赤字で財政破綻寸前のところが多く、それが橋下府知事らの危機感の原点になっているが、大阪の財政難の原因は、多くの企業とその社員が東京に移り、税収が減ったのに、以前と同じ財政支出を続けたためだ。その点、大阪の役人や人々(有権者)は、危機感が足りない。「どうせ東京にはかなわない」というあきらめが過半かもしれない。

(私は東京出身で、仙台の大学を出て、90年代前半に大阪で記者勤務をしたが、当時の大阪、特に本町以南の雰囲気が、東京や東北の街と非常に違って風変わりなことに驚いた。大阪人は商売も巧みで、東京の大銀行が「なにわ金融道」に引っかかり、何百億円も不良債権を抱えていた。だが先日、久しぶりに大阪ミナミの商店街を歩いたところ、東京の真似が多い仙台と似通った雰囲気の、小じやれた街になったのを感じ、大阪はすっかり「地方都市」になったと思った。大阪の異様な独自パワーは消えつつある)

だが、歴史的背景から考えて、関西人は扇動されれば「自分たちこそ上方」「東京をしのぐ街になる」という気概を持つだろう。東京が対米従属にからめ取られている間に、アジアから独自の経済誘致ができれば、舛添の言うとおり、大阪は香港的な発展ができる。大阪は従来からアジア指向だったが、これまでの地方自治の枠組みでは、スローガン以上のことはほとんどできなかった。日本が明確な地方分権策をとれば、この限界を打破できる。大阪が、地方都市に成り下がるのがいやなら、国策の革命を起こすしかない。そして、橋下や小沢や舛添は、大阪人・関西人を扇動し、革命にいざなおうとしている。

沖縄は、この革命の先駆地であるが、沖縄は地理的・歴史的に日本の辺境なので、沖縄の革命は本土に伝播しにくい。東国原の宮崎県も、指導者的には革命拠点になりうるが、地理的にめだたない場所にあり、宮崎で革命が起きても、東日本の人はピンと来にくい。その点、大阪は影響力がある。東京のテレビに出ている関西人の芸人たちが「大阪の独立を支持するで」「地方主権や」と言い出せば、大騒ぎになる。今後の地方選挙で、橋下新党が大阪府下や関西一円の地方議会の多数派になっていけば、地方からの民主的な革命(体制転換)になりうる。関西の動きに呼応し、各地で地方分権の要求が起こり、東京政府の中央集権的な官僚制度が「旧体制」として打倒の対象になる。こうした地方からの革命(政権転覆の反乱)が起きれば、それは明治維新以来のものだ。

大阪都構想について - 大阪維新の会

橋下市長の大阪都構想を、きちんと考えてみる