2014年9月15日月曜日

新制度の効用

この新制度では、専門医は、患者を紹介した「掛かりつけの医師」に対して診療について説明し指示を与えるべく協力する立場にあるので、患者には基本的に重要なことを説明して、患者が理解し納得したかどうかを聞き出すのは、気心のわかっている「掛かりつけの医師」にまかせることができる。そうすれば、「掛かりつけの医師」としてもその患者の診療に深く関与できるのである。同時に患者にしてみれば、専門医と「掛かりつけの医師」の二人の医師に頼れるという安心感と信頼感が生まれるという利点がある。

新制度を現実のものとして生かしていくにはヽ医療費の面で慎重な検討をしなければならないのはいうまでもないことである。これは新制度の導入であるから、厚生省が新制度に魅力を感じて本腰を入れて検討してみようという意欲をもって前向きに動かなければ、絵に描いた餅として消えていく運命にある。

この制度を導入したら、「医療費が削減できるのか」という疑問がまず生じるであろうが、それはどのように運営するかによって違ってくるので、即断はできない。次の疑問は、「三時間待って三分診療が本当に解決できるのか」であろうが、それが第一の目的で提案しているのであることは前項の説明で十分に理解していただけると思う。

では「患者の数に対する医師の数は、新制度になったら現状より改善されるか」という疑問に対しては、一人の「掛かりつけの医師」が一家族の複数の構成員の健康管理と特殊医療以外の日常の診療をするため、効率よく診療ができ、かつ専門医が診療する患者数が現在より減少するので、医師の数と患者の数の不均衡が改善されてインフォームドーコンセントを実施するゆとりが生まれ、患者・医師の間柄が暖かい信頼関係に変わってくるに違いないと思うと答えたい。新提案の究極の目的はそこにあるのである。

この夢を実現するには、運営面での失敗は許されないわけであり、そのための新制度全体を構想するのは私個人の能力をはるかに越えており、この道のベテランに頼らざるをえない。しかし、新制度を提案した以上、粗っぽく不十分なものであっても、若干の考えを述べておくのが責任というものであろう。