2014年10月15日水曜日

「ユーロ」創設とは、独り勝ちを続けるドルに対するカウンター・パワーである

これを金融の面から見れば、「ユーロ」創設とは、独り勝ちを続けるドルに対するカウンター・パワーを目指す戦略的動き、ということもできる。つまり、「ドル」対「ドル支配に抵抗する勢力」の、旧帝国主義時代にも似たせめぎ合いが、アジアを舞台にくり展げられている、ともいえるのである。

ソロス氏のこのコメントは、アジアにおけるドル独り勝ちを許してはならない、と言っているのではなかろうか。ドル・ペッグ制下のタイ・バーツや香港ドルが狙われたのは、そのためではあるまいか。以上はあくまで、結果から見ての臆測ではあるが。

中国では、先にヘッジファンドによって香港への通貨投機が行われて以来、専門チームを編成してソロス氏らヘッジファンドの研究を進めている。日本でも大蔵省がようやくヘッジファンドの動向をモニターするための専門官を置くことになったが、その人数はだったの一人である。これで五千近くあるヘッジファンドの動きを監視せよというのは、まるで正気の沙汰とは思えない。これでは、ヘッジファンドが中国ではなく、日本を操る方が簡単だと考えても不思議はないだろう。

いずれにせよ、日本と香港の二つの金融市場がアジアの中では最も流動性が高いことは間違いない。ということは、ヘッジファンドの得意技である空売りに必要な株や資金の借入れ調達ができるのは、この二つの市場しかないと見てよい。

仮に、アジア市場が「ドル」対「ユーロ」のせめぎ合いの場だとすれば、ヘッジファンドの今後の展開を見極めるポイントのひとつは中国の政治、経済動向であり、もうひとつのポイントは、香港と日本が中国市場に対してどのように関与していくのかであろう。なぜなら、彼らがもっとも重視する判断材料は、狙った市場をとりまく内外の戦略情報であるからだ。

いずれにせよ、ヘッジファンドの動きに効果的な対策を講じるためには、彼らの思考や行動パターンについて、より詳しい情報を集める必要かおるといえる。手始めに、日本でもっとも知られ、ある種の伝説的人物になっているという意味で、ジョージ・ソロス氏について以下で紹介することにする。