2012年7月4日水曜日

NB牛乳の販売苦戦は当面続きそうだ

大手メーカーが製造したナショナルブランド(NB)の牛乳の販売が苦戦している。乳業各社は3月、原料価格の上昇を理由に約1年ぶりの値上げを実施。その結果、割安なプライベートブランド(PB=自主企画)など競合品に消費が流出している構図だ。

乳業各社は3月、小売業向けに牛乳の出荷価格を1リットル10~20円引き上げた。昨夏までの飼料高を背景に、原料の生乳の価格が引き上げられたためだ。

牛乳の値上げは昨年4月に続き年度内で2度目。「中小の乳業メーカーを除けば、値上げは店頭価格にほぼ反映された」(大手乳業)という。

値上げの結果として生じたのは、牛乳の販売の落ち込みだ。ある大手乳業メーカーでは、NB牛乳の販売量が前年同月比で約2割減少したという。

牛乳は購入頻度が高い基礎的な食品のため、価格の変化が消費に与える影響は比較的小さいとみられていた。酪農団体の中央酪農会議(東京・千代田)が2008年12月下旬に実施した調査でも、既婚女性の8割が牛乳の値上げを許容していた。

それにもかかわらず大手乳業のNB牛乳の販売が落ち込んだのは、スーパーやコンビニエンスストアの割安なPB商品の存在が一因だ。

例えば都内のコンビニでは、PB牛乳は大手乳業のNB牛乳よりも1リットル30~40円程度安い事例が目立つ。割安でも品質に問題があるわけではない。「節約志向の強い消費者がPB牛乳に流れている」(大手乳業)のだ。

通常の牛乳よりも割安な成分調製牛乳などに需要が奪われているとの指摘もある。不況の影が色濃くなるにつれ、消費者の財布のひもが一層固くなっている。NB牛乳の販売苦戦は当面続きそうだ。