2014年7月10日木曜日

非政府組織の認知

情報公開法の成立と並んで、官から民への流れを加速させたのはNPO法案の成立である。一九九八年三月、自社さ与党三党案を民主党と共同修正したうえで成立した非政府組織、非営利組織に対する支援法案(特定非営利活動促進法案、NPO法案)は、環境、福祉、災害救済、街づくりなどこ一の項目に該当する市民団体などが、都道府県の認証を得て法人格を取得することができるようにするものであった。

これまでは不適格な団体を排除するという理由から、数億円の基本財産なしに法人を設立することは不可能であった。これは、非営利組織など財政規模も小さく、弱体な団体にとり、越えがたいハードルであった。そのために多くの非営利組織は任意団体としての活動を余儀なくされてきた。その結果、銀行口座の開設や、事務所の設置など個人名で行わざるをえず、不便が絶えなかった。法案の成立でその点が改善された。

しかし、この団体は、不特定多数の利益の増進に資することが条件とされ、宗教活動、政治活動を目的とすることはできない。団体の財政基盤強化に必要とされたNPOに対する優遇税制の扱いについては、法律施行後二年以内の見直しで改めて検討されることになった。

非政府組織、非営利組織の活動に対する法的な支援に、もっとも強い関心を示してきたのは、さきがけと日本新党である。九三年六月の結党時のさきがけの基本政策には、「NGO等の活動がより円滑に、有効に展開されるように、法人格の取得や税の控除等の面での環境整備について積極的に支援を行う」とある。この法案が可決されるまで、さきがけが与党の一角を占めてきたことは、その意味で重要である。

自民党は、与党三党の結束を重視し、NPO法案に基本的には賛成した。しかし、主導権を握るさきがけや、社民党とは異なり、対象団体の活動をできるだけ行政の監督下におくこと、国の財政上の負担とならないことを条件にした。自民党には、原子力発電所建設や、大規模公共事業の反対運動を展開してきた市民運動に強いアレルギーがあった。そうした観点から、最り終的には与党案から削除された団体名簿の提出にこだわり、また大蔵省と同様に団体への税制優遇措置には難色を示している。